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安藤忠雄住宅作品 「4×4の家」まとめ&なぜ取り壊しに?構造面からの視点

1級建築施工管理技士

 

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僕がブログでずっとやりたかった著名建築家の住宅作品の徹底解説です。

第一弾は日本が誇る大阪出身の安藤忠雄です。

今回は4×4の家というちょっと変わった住宅を紹介していこうと思います。

このページを見てもらえればすべてが分かるよう徹底してまとめていきます。

 

目次

 

 

4×4の家:概要

 

兵庫県神戸市垂水区にある、安藤忠雄の住宅建築。2棟(I・II)あるうち、Iは2003年、IIは2005年に竣工。設計は安藤忠雄設計事務所、施工は中田工務店4m×4mの家の名称は、最上階にあるワンルームが、縦・横・高さそれぞれ4mの長さに統一されていることに由来している。(但し、建築面積が4m四方という訳ではない、 明石海峡大橋を臨む兵庫県神戸市垂水区の海岸線沿いに建築されている。2棟ある建物のうち、西側にあるのが4m×4mの家 I、東側にあるのが4m×4mの家 IIである。ワンルームの窓は、明石海峡大橋に面しており、その奥には淡路島を眺望することが出来る。 なお、詳細な住所等は一般住民の在住する住宅建築であることを考慮し、現在正式に公開されていない。また、同様の理由から、建物内の一般見学は、不可能である。4m×4mの家 Iは、敷地面積:65.42m²に対し、建築面積:22.56m²である。この建築面積から判然するように、縦横の長さが4.75mの正方形上に建築されている。最上階にあるワンルームは、下層階より若干東側にずれており、前述のとおり4m立方の設計となっている。構造はRC造であり、地下1階、地上4階から構成されている4m×4mの家 IIは、4×4の家 Iの東に隣接するように2005年に竣工した。こちらはIと意匠が似ているが、木造建築であること、地上3階建てであること、更には外壁塗装が黒色であることなどが異なる。なお、最上階にあるワンルームは、下層階より若干西側にずれている。

企画

2000年11月、雑誌BRUTUSにて募集された「約束建築」という特集で、著名建築家があなたの家を建てるという企画が行われた。この企画には、安藤忠雄の他、早川邦彦岸和郎らが参加した。この企画によって、2002年に着工し、2003年に竣工したのが、4m×4mの家 Iである。この建築についての報告は、2003年にBRUTUSに「有名建築家10名による「約束建築」報告!」として掲載された。 一方、4m×4mの家 IIは、同様の公募によるものではなく、あくまで個人依頼での設計である。 4m×4mの家 IIは、竣工から9年後の2014年に解体された。

外観

f:id:byshogo:20180913160406j:plain右側の黒っぽい方が木造で左がRC造である。中心から2つの建物が完全に線対称になっています。2つの直方体を使ってこの形を作っているのですがさすが安藤忠雄だと思わざるを得ないくらいに非常にシンプルに、それでいてインパクトのある形にまとめられています。ですが木造の方は窓がかなりクリアになっており外から内がよく見えるようになっています。これは住む人は気になったりしないのでしょうか...?僕だったらかなり抵抗を感じます。RC造の方は不透明なので外からの視線を気にすることはありませんね。

 

間取り

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平面図と立面図、断面図です。あの上階部分の大きな窓の部屋は最上階がリビングでその下の階は書斎となっているようです。地下室は何もない部屋となっており住人次第で自由に使うことができそうです。地下室はいいですね。音が響かないのでスピーカーで音楽を聴いても近所迷惑にならないし窓もなく完全なプライベート空間になっています。僕も家を建てることになったらぜひ取り入れてみたいですね。

 

構造、取り壊しについて

構造についてこの住宅は木造とRC造の二つありどちらも外見的には同じです。ただ、この変わった形はRC造(鉄筋コンクリート造)ならまだしも木造で持たせるには無理があったのかもしれません。通常木造は上の階や屋根からの荷重をまず梁で受け、均等に柱に伝えるという構造なのですがこの住宅のように出っ張った部分があると下の階まで一本の柱を伸ばすことができずに片持ち梁という形で出っ張りの部分を支えるようになりその部分の負荷が大きくなります。また屋根も一番良いのはよく見る三角の屋根で屋根の荷重を均等に梁に伝えることができ、雨水の処理もしやすいです。一方この住宅は陸屋根という水平の屋根のため梁や柱にかかる負荷は大きく雨水の排水もドレンを使わなければいけないなど少々めんどくさいです。長々と書いていますが結果木造の方はわずか9年間で取り壊されました。理由ははっきりとはわかりません。土地の借り上げ期間が10年だったという説もあります。しかしやはり木造では無理のある構造のため構造上支障があるために仕方なく取り壊すことになったという方が考えやすいと思います。

 

今回の4×4の家についていろいろと考察(主に取り壊しについてですが)も交えてきたもですが結論安藤忠雄住吉の長屋でもあるようにあまり住み手の利便性は考えずデザインや斬新さを追求しているように思います。ただそれが安藤建築の良いところでもあり、住み手が満足しているのであればいいのでしょう。